恋口の切りかた

「ところで、聞こうと思ってたんだが……エンシロウサマ」

遊水はいきなり話を変えた。

嫌な予感がして、俺は身構える。
こいつが「エンシロウサマ」と妙に強調した言い方をする時は、大抵ロクでもない話題だ。

実際、この予感は的中した。


「あんた、おつるぎ様のことをどう思ってるんだ?」


俺は唾を気管のほうに入れて思いきり咳き込んだ。


慌てて、周囲を確認する。

幸いなことに、金魚を取りに行った留玖はまだ戻ってきていなかった。


「な……何の話だ?」

「ほほ〜う、トボケるねェ」

遊水は意地の悪そうな笑いを浮かべている。


「いやなに。

辻斬りを斬った夜、橋の上のあんたとおつるぎ様の様子を見て、
ちょいと気になったもんでね」

「気になったって……何が?」


俺は嫌な汗が滲むのを感じながらも、極力平静を装おうと努力した。


「おいおい、エンシロウサマ。
俺の目はフシアナじゃねえぜ?

あん時の両人のご様子は、ありゃ兄妹と言うより──

──恋仲の二人のもんだった」


俺は言葉を失う。

そんな俺に遊水は断定的に言い放った。


「男女のそれだ」