恋口の切りかた

屋敷の庭で俺と留玖に深々と頭を下げる棒手振姿の遊水は、
少しやつれたように見受けられたものの、元気そうだった。

「どうもご心配かけまして。このとおり回復しました」

そう言う遊水に、留玖は良かった良かったと無邪気に喜んだ。


「遊水、あんた今回……俺を操ってやがったのか?」


俺はその白い顔を軽く睨みつけて訊いた。

えっ? と、留玖がびっくりした様子で声を上げる。


遊水は、



「さて、どうかな」



ニヤリとした。




──食えない奴……。


俺は苦笑する。

もしも遊水が俺を操って辻斬りを斬らせようとしていたのだとしたら、
それも誰かの依頼なのだろうか。

銀治郎の言う、「真の情報」を使って俺を操ったということになるが──

こんなのは、
俺にとっては利害が一致した、というだけのことだった。

どうせ人間なんてのは、互いに影響し合って動いているものだ。