恋口の切りかた

「奴を問いつめたが、知らぬ存ぜぬでうまくかわされた。
奉行所が調べても何も出てこねえと来たもんだ。

その上当の遊水の野郎ときたら、
金子を積み上げてしれっと、
これはいつもお世話になってる親分さんにと頭を下げる始末だ」


銀治郎としてもさほど惜しい子分ではなかったし、
何より操り屋は手放せなかったから、
結局それで手打ちにしてしまったらしい。


「振り返ってみりゃァ、あれも全部奴に操られたってことですかねェ」


そう言って湯飲みの中身を飲み干す銀治郎を見て、
ヤクザがどうしてあの金魚屋をこうまで警戒するのか

俺はようやく納得した。


「奴がどこから怪しい情報を仕入れてくるのかは──まァ仕事上の秘密ってやつなんでしょうが、

とにかくそんな得体の知れねえ奴ですぜ」


銀治郎はそう言ったが──


「は! 面白えじゃねーかよ」


俺はこの話を聞いて、
ヤクザを平然とあしらう遊水という男に興味が湧き、
むしろ気に入って、

それから連日、奴とつるんで遊ぶようになったのだった。


「円の字の旦那にゃァ、敵わねェな」

と、わざわざ忠告してくれた銀治郎はあきれていたが。