恋口の切りかた

──行けるワケねえ!

こんな留玖を置き去りにしてどこにも行けねえ──!!


つうか、どこにも行きたくない!



それどころか、
ヤバい……ヤバいぞ俺。

さっきでさえ、危うく
その愛らしい唇を奪いそうになったのに──

もはや本気で、自分が何をしでかすかわからない状態だ。



いかん!



こんな、

中間が見てる前で、留玖に何かしたら……




ぎゅっと──

彼女の細い肩を抱きしめて


「わかった、留玖。俺はここにいるから、安心しろ」


ぎりぎり崖っぷち
俺はなんとかそこで踏み止まった。


留玖の長いさらさらした髪が手に触れ、どきどきする。

彼女を抱きしめたまま、再びその場に座って、留玖の肩に布団をかけてやって──


ふう。

胸の中で密かに溜息を吐いていたら、
俺を不思議そうに見上げている大きな瞳と目が合った。

思わず視線を逸らす俺。

「ったく、お前な……いきなり真顔で……焦るだろうが」

留玖はきょとんと首を傾げた。


「へ? なに?」

「──っお前にそういうこと言われたら、どこにも行けねえだろうが!」


こいつ、こんな無垢な顔して……


とんでも無い男殺しだ──。