恋口の切りかた

いやいや、

とその考えを振り払う。


具合の悪い妹に兄が優しくしてやりたいと思うのは別に問題ないだろう。


そうだ、これは当然の感情だ。

咎められるいわれはねーぞ。


俺はプイと留玖から顔を逸らして



「優しくしちゃいけねえのかよ、お前は俺にとって大事な──」

──妹だ。

そう告げようとして、





一瞬



留玖と出会ってからこれまでの様々な出来事が
脳裏をよぎり、



大事な妹じゃない

俺が留玖を大切に思うのは、妹だからじゃない

そんなに単純じゃない


──と思った。



なら、
留玖は、俺にとって何だ?
一番しっくり来る言葉を探して、



「俺にとって大事な奴だ」



留玖に背を向けたまま
壁に向かってそう言ってから、


──今なんつった?


自分がとんでもないことを口走ってしまったことに気がついた。


大事な奴だ。


そのセリフは──

聞きようによっては──



ヤバい、何か説明しないと……

俺は焦って

だから留玖が、

「私だってそうだよ」

と言って、
頭が真っ白になった。



「エンは一番大切な人だよ」



留玖?



それは……