恋口の切りかた

俺はホッとして、思わず笑みがこぼれる。

辛そうな留玖を見て、食べさせてやろう、なんて思って……

猫舌の留玖を危うく火傷させそうになったのには焦ったが。


「うまいか?」

と留玖に訊くと、彼女は

「うん、おいしい」

こくりっと頷いてくれたりして──


俺は一人で舞い上がった。



道場に行っても、彼女のいない稽古は物足りなくて、つまらなかった。

改めて、自分の中で留玖の存在がいかに大きくなっていたかを思い知る。


それに、留玖の弱々しい姿は、俺の保護欲を滅茶苦茶かきたてるもので──


留玖のそばにいたい

守ってやりたい


頭の中にはそればかり浮かんで

結局、俺は稽古を放り出して留玖のところに戻ってしまった。



俺が部屋に戻ると、留玖は驚いたような
嬉しそうな顔をしてくれたように──見えた。

……まあ、都合の良い俺の目にはそう映った。


それでまた脳天気に喜んでいたら、



突然──



留玖が泣き出したので、俺は慌てふためいた。


「だって、エンが優しいから」


留玖はそんなことを口にして、


「どうしてそんなに優しいの?」



真顔で訊かれ、俺は返答に詰まった。