恋口の切りかた

うーむ、意外とアッサリ作らせてもらえた……。

これも俺の日頃の行いの賜ってやつだな、うむ。


味見をすると、満足な出来で──

俺は自分の仕事だと食い下がる女中を押し切って、留玖のところに鍋と椀を持って行った。

「まったく、円士郎様の気まぐれには困ります」

迷惑そうにそんな捨てゼリフを残した女中を見送ってやや唖然とする。


気まぐれって──優しいとか妹思いとかそういう感想は皆無かよ、俺!?


こっ恥ずかしい気がしてソワソワしていたのは俺一人で、台所の連中もこういう胸中だったのだろう。

余計な気を揉む必要もなかったってことらしい。


お……俺の日頃の行いの賜ってやつかな、うむ。


俺が粥を持って部屋に入ると、留玖は布団の中に顔を引っ込めて、「いらない」とか言いやがった。

これで食べてもらえなかったら情けなさ過ぎるぞ俺……。


自分が作ったなんて口が裂けても言えないので、俺はとっさに母上が作ったと嘘をついた。


……殿様の娘でお城育ち、正真正銘の姫君である母上が、
こんなの作れるワケがねーんだけどな。


俺の苦しい嘘も、留玖は何の疑問もなく信じた様子で、

可愛い声で「食べる」と言った。