恋口の切りかた

世界が変わる遊び……ねえ。


兄弟の中では俺と一番気が合いそうだと言ったのは、こういう意味か。

俺が指摘すると遊水は笑った。


「晴蔵様の血を一番強く継いでらっしゃる気がしたもので」

「そりゃ正解だ。
兄弟の中では俺と雪丸以外──あの場にいた二人は、二人とも養子だからな」

遊水は少し目を大きくした。

「おつるぎ様のことは存じておりますが、弟君もですか?」

「ああ」


俺は酒を口に運びながら、幼い頃のことを思い出した。

まだ留玖とも出会う前のことだ。
これが今日からお前の弟になる平司だと言われ──


「おかげで、俺はまだ小さかったから……弟っつうのはてっきり、ある日突然できるもんなのかと思っちまったっけな」


そんな他愛ない話をして、


あの親父殿の血か──

遊水の言うとおり、

俺が感じていた物足りなさを満たすのに、
それは十分で……



その日から見事に俺は女遊びにはまった。


まあ、アレだ。
俺もそこは健全な青少年なワケだし。


遊郭通いが健全かはさておき。



と言っても連夜遊郭に通い詰める金などないから、二回目からは昼見世通い(*)となったが。

「家の金を持ち出せば幾らでも遊べるでしょうに」

などと遊水はヤクザな提案を口にしたが、馬鹿かよ。

「ンな真似ができるか! 遊ぶ金なら、虎鶫の賭場で儲けた分があるしな」

まあ、これもヤクザな金ではあるのだが。


ついでにその頃俺は、銀治郎親分の頼みで
左内と喧嘩しつつ用心棒まがいの真似も頻繁にやっていたため、

遊水ほど豪遊しなければ遊ぶ金には事欠かなかった。



(*昼見世:夜より安い)