恋口の切りかた

他にも、絵の資料だとかいう、

びいどろ(*)の壺に入って酒漬けにされている蛇だとか、
木箱いっぱいに詰め込まれていた色々な虫の死骸だとか……


ここへ来た時に鳥英が鶏を捌いていた理由はよう〜くわかったけれど、


私にとっては、やっぱりここは化物屋敷で、



佐野鳥英という人は、面白い人というより変人だった……。



うう……綺麗な人なのに……。



でも、鳥英と蘭学や絵について話す円士郎は、何だか男同士で会話しているみたいで

私はちょっとホッとして、

なんでこんな風に鳥英と円士郎のことが気になって、こんなことで安心するのか──

自分でも理解できなかった。



帰ろうとする私たちに鳥英は、その血まみれの格好で帰宅する気かと言った。

円士郎は都築を斬った時の返り血を浴びたままだったし、私もその円士郎に抱きしめられたりしたせいで、寝間着が血だらけだ。

途方に暮れる私に、鳥英は寝間着を貸してくれ、円士郎には虹庵から借りていくように提案した。

虹庵がこういう時に何も詮索してこない人だということは知っていたけれど……

「何も訊かないんだな」

円士郎が鳥英を見て呟いた。



(*びいどろ:ガラス)