恋口の切りかた

え? 私、何だか怒ってる……?

なんで?

私のことを大切に思ってくれてる円士郎が、さっきまではあんなに嬉しかったのに……


「別に、鳥英には……夜遅くなった時に、二、三回泊めてもらっただけで──」

「えっ……」


円士郎が困惑気味に口にした言葉に、私はびっくりして円士郎を見上げた。



「夜、泊めてもらった──?」



若い男女が一つ屋根の下で一夜を過ごす。

その言葉が意味するところは、私もなんとなくわかってきていた。



「そ……そうなんだ……」

なんでか声が震えた。

再び私は膝に視線を落として、


「ん? ──いや、馬鹿!
留玖、変な意味じゃねえぞ!?」


円士郎の、滅茶苦茶慌てふためく気配が横から伝わってきた。


続けて円士郎が、何か言ってたけど


私は何故だか

凄く悲しいような嫌な気分で


あんまり耳に入ってこなくて──



「円士郎殿。君は他人の家で何可憐な少女を泣かせそうになってるのかね?」

涼やかな声が頭上から降ってきて、私は顔を上げた。

鳥英が、綺麗な顔にあきれたような表情を作って、
灯りを片手に私と円士郎を見下ろしていた。


「とりあえず終わったぞ」