恋口の切りかた

「こいつは──円士郎様も隅に置けないねェ。
こんな美人の知り合いがいるとは……」

遊水の言葉に、私もすぐそばで明かりに浮かんだ女の人の顔を見て、

はっと息を呑んだ。



綺麗な人──。



二十歳くらいだろうか。


すらりと伸びた肢体にほっそりした首筋。

化粧気がないにも関わらず、暗闇で浮き上がるような色白の肌で、口元は紅を差したように赤い。

長い睫毛の奥の黒い瞳は、意志の強そうな光を宿している。



思わず見つめていたら、
女の人は瞳を動かして私を見て、端正な顔に「ん?」という表情を作った。


「君は──女の子か?」


こんな喋り方と言い、

うーん、綺麗な人なのに何だか雰囲気が……



男の人みたい。



「すまんな、男かと思った」


女の人は私が彼女に対して思ったのと同じようなことを言った。



それから彼女は、遊水に毒の症状を聞いたり、書物を引っ張り出してきて眺めたりして、

やがて円士郎が虹庵を伴って戻ってくると、


「おそらく福寿草、君影草、夾竹桃、万年青のいずれかの毒」

と告げた。


さすがだな、と声を上げる円士郎の横で虹庵が渋い顔をした。


「いずれも薬はない」