恋口の切りかた

彼が何に対して謝っているのか、
どうして謝るのか、

私にはわからなくて、戸惑ったけれど、

「ごめんな、留玖」

円士郎は繰り返して、左手で私の頭をなでて──

「ごめん……俺は──」

その声が今にも消えてしまいそうで、

いつもの円士郎からは想像もできない程、
あまりにも弱々しくて


私はそろそろと円士郎の背に手を回して、ゆっくりその背中をなでた。


「なあに? エン、どうしたの……?」


血の臭いがして、
円士郎の匂いがして、
彼の温もりが伝わってきて、

彼が生きていることを再確認する。


円士郎の声を聞いた時のように、私は全身の力が抜けていくような安心感に包まれて──



「都築様は死んだか」

間近から聞こえた低い声に、再び全身を緊張が駆け抜けた。