【剣】
円士郎が勝った。
私はホッと胸を撫で下ろして──それから、彼の様子がおかしいことに気がついた。
斬った都築の死体をしばらく見下ろして、
一度手元に視線を移した後、
円士郎は私のほうを見た。
「留玖……」
と私を呼んで、
苦しそうに表情を歪めて、
まるで今にも泣き出しそうな顔で、
円士郎は私に近づいてきた。
その足取りはおぼつかなくて、
支えなければ今にも倒れてしまいそうで、
私は突き立てていた刀から手を離して立ち上がり──
円士郎の左手から
握り締めていた小太刀が滑り落ちて、橋に突き刺さった。
そして
空いた左手と、
都築を斬った刀を握ったままの右腕とで、
円士郎は倒れ込むように私を抱きしめた。
「エ、エン……?」
びっくりして心臓が跳ね上がる私の耳元で、
「……ごめんな」
円士郎が小さく囁いた。



