それができるのが「剣術」なんだ、漣太郎。
記憶の中で、遠い日に虹庵が言った言葉の意味を──
──理解した。
留玖……!
俺は、橋に刀を突き立てたまま、こちらを見つめている彼女を振り返った。
自分が彼女に何をしたのか──ようやく悟って、
途方に暮れる。
俺は彼女に木刀を与えて、
俺は彼女に剣術を教えた。
その何たるかを理解せずに。
出会った頃、彼女が握っていた棒切れとは違って、
木刀には背と腹がある。
刃がある。
切っ先がある。
そして剣術には、
人を死に至らしめるために狙うべき人体の箇所を斬るための動きが──ある。
彼女の動きは、俺との「遊び」を通して徐々に剣術の動きになっていった。
それは即ち──
彼女の動きが、人を斬るための動きになっていったということだったのだ。



