恋口の切りかた

どくどくと胸で心臓が脈打つのを感じながら、俺は都築を斬った自分の刀に視線を落とした。


月光を反射して、どろりと付着した赤い色が見える。

生温かい雨のように浴びた返り血の感触が、頬に残っている。



都築を袈裟懸けに斬り上げて、かわされたあの時──

俺はワザと腹ががら空きになるようにした。


幼かった日に、留玖との勝負で
同様にして腹に一撃を食らって、

相手の攻撃を腹に導けるのではないかと考えた時から

何度も何度も、留玖や他の門下生との勝負で試して、使えることを確認していた戦法だった。




勝った──。

初めて人を斬った──。




全身が火のように熱かった。




でも、頭の中はどこか冷たく冴え渡っていて、



本当に斬れるもんなんだな、と

いつもの稽古や木刀での勝負と同じ動きで、本当に人間が斬れるんだな、と


そんなことを考えていて……



唐突に、

俺は気づいた。