恋口の切りかた


【剣】


鋼同士がぶつかり合う硬質な響きが、橋の上に響いた。



悲鳴にも似たその甲高い残響が消えると、


「小太刀(*)──だと?」

代わりに都築が驚愕の声を発した。


腹を斬り裂いたと思った都築の一撃は、

いつの間に抜き放ったのか──
円士郎が左手で逆手に握った、小太刀によって受け止められていた。


夜の暗さも手伝って、私もこれまで全く気づいていなかったのだけれど

いつもの二本差しではなくて、今夜の円士郎は脇差しの代わりに小太刀を差していたらしい。


二人の動きが止まる。



「二刀流か──ッ!?」

都築が焦った声を上げ、



ミシ、と微かに何かが軋む音が、足の下から聞こえた。



(*小太刀:刀身が二尺以下の湾刀。脇差しも含まれるが、ここでは脇差しよりも長く、大脇差しと呼ばれる刀。
二刀流においては、円士郎が行ったように相手の攻撃を受け、流すのに用いる。
鏡神流の二刀は片手に打刀、片手に小太刀という設定)