恋口の切りかた

「一つ、聞かせろよ」

俺は、ずっと疑問だったことを訊いた。


「てめえら、何でわざわざ腕に覚えのある者ばかり狙って、しかも事前に果たし状なんて送りつけてやがるんだ?」


辻斬りのこの習性のおかげで、

俺たちも、誰がいつ狙われているのかを予め知ることができたのだが──


まあ、どうせこの質問にも、
回答は得られないだろうと、

俺は期待していなかった。


しかし

「我々は、果たし合いに応じた者しか斬っておらん」

意外にも、都築から答えは返ってきた。


「世間を騒がせている辻斬りを我こそが斬ってやろう──

そんな心積もりで、果たし合いに応じてきた者、

つまり──『逆に己が死ぬかもしれないという覚悟』もできている者だけを、斬るために行ったことだ」


「へえ……」


それは──

ワケのわからない都築たちの行動の中で、

最もわかりやすい、
非常に納得のいく答えに思えた。



「腕に覚えのある者ばかりを狙ったのではない。

『結果的にそうなった』だけだ」


都築のその回答は、俺の中にストンと抵抗なく落ち着いた。


「成る程ね」

俺はにやりと笑った。