何なんだ、こいつ──。

目の前で刀を構える都築からは、この場に駆けつけた時から得体の知れない不気味な空気を感じていたが、一層それが強まったような気がした。


千人斬りなんて迷信めいた真似をするってだけでも理解不能なのに、そこまでして──

──いや、千人斬りという行為自体がそもそも、そこまでして成し遂げるものだということなのか?


「それに、断っていいのか?」

都築は薄ら笑いを浮かべて、橋の上にうずくまっている遊水を顎でしゃくった。


「毒手裏剣を受けたあの男、このままだと死ぬぞ?」

「────っ!!」

「解毒剤が欲しかろう」