恋口の切りかた

言われてみれば、全くその通りで、
この状況で彼らが辻斬りの下手人でなければ何だというのだろう。



「お一人お願いしたい所ですが──厳しいですかね」

遊水は二人の男を見据えたまま、私にそう訊いてきた。


彼はいつも金魚を売りに来る時のような、動きやすそうな法被姿だ。

私は遊水の奇妙な姿勢を見て、先程もんどり打って転がった男の姿を思い出した。

腰を落とした遊水の体勢は、私が知らない武術の構えのような気がした。


あの時──

まるで走ってきて体当たりでも食らわせたかのように、男の体は綺麗に勢いよく弾き飛ばされていたが、遊水にはそのような動きをしていた気配がまるでないのだ。


だとすれば、あれは何かの技なのではないか。


「遊水さんは──武術の心得が……?」

遊水の格好を見る限り、武器のようなものは手にしていない。完全に素手のようだが。

「あてにされても困りますぜ。
粋な喧嘩ならともかく──ただの金魚屋が長ドス相手の野暮な斬り合いなんざ、できるワケがないでしょうよ」

遊水はそんな答えを返した。