恋口の切りかた

木刀を両断したこの人──袴に小袖、見たところ侍かな──かなりの剣の腕だ。

普段の私だったら、
体調がこんな状態でなければ、

いい勝負になったかもしれない。


よりによってこんな時に、こんな体だなんて──




──もったいないな。




唇を噛みしめてそう思ってから、自分の考えに少しぎょっとする。

もったいない?
命が危ないかもしれない時に──何が、もったいない?

まさか……


勝負できないことが、もったいない。
こんな相手と『真剣で斬り合える』なんて滅多にない機会だというのに──もったいない。


自分は今の状況で、そんなことを悔しがっているとでも言うのだろうか。