恋口の切りかた

雲が月を隠した。

暗闇の中、二つの人影が橋の上に立っている。



「エン……」


私は掠れた声をかけて──




再び雲が切れ、人影の顔を月が照らした。



私は息を呑む。



ぼろぼろの着物に乱れた髪、伸ばし放題の髭。
手入れしていない月代も同様に伸び放題。


齢は──三十代か四十代というところだろうか。


「見たな」

「おのれ、何奴だ?」


私を見て口々に言う見知らぬ二人の男は──

──円士郎と遊水ではなかった。





誰……?
どうして知らない人がここに……


頭が混乱する。


この人たちが左内を……?

だって、辻斬りの犯人は──




──円士郎だったはず。





「顔を見られたからには生かしておけん」


混乱する私の前で、片方の男が手にした抜き身の刀を構えた。