恋口の切りかた

朝餉の時間になっても布団の中にいたら、

心配させてしまったのだろう。
母上が私の様子を見に来た。

頭まですっぽり布団を被った私を見て、母上は「まあまあどうしたのですか」と優しく言ってくれて──私は涙が出そうになった。


あなたの息子は辻斬りをしていました、なんて……絶対に言えない。
言えるわけ、ない。


「とにかく顔を見せてくださいな」

と言われて、恐る恐る顔を覗かせた私のおでこに手を当てて──

「あら、熱が」

母上はそう言って顔をしかめた。


確かに頭は痛いけれど……本当に熱があるとは思わなかった。


「風邪でしょうか、あとで虹庵先生に見てもらいましょう。
ご飯はどうしましょうね」

「……食べたくありません」

母上は心配そうな顔になった。

私はどうしていいかわからなくて、再び布団の中に頭を引っ込めた。


母上は、私を布団の上から優しくなでてくれて、

それから──お粥を持って来るから、少しでもいいから食べなさいという声がして、母上が部屋を出ていく気配がした。