恋口の切りかた

人を斬ってみたいか?



その問いに対してかつて抱えていた答えは、


留玖に対する劣等感と焦(あせ)りが解消された気がしたあの日に

俺の中で一緒に解消されたと思っていた。



だが、あらためて問われると、どうなのだろうと思う。



解消された気がしただけ

解消されたと思っただけ──


──なのではないか?


焦りも、
劣等感も、
あの日、黄金色の西日の中で抱いた剣呑な思いも──。



留玖はすでに、親父や虹庵など一部の者を除いて、
門下の中では大人でも太刀打ちできないほどに成長していた。


相変わらず俺との勝負では勝ったり負けたりが続いていたが、

ここのところ留玖に対する俺の負けの割合が、徐々に勝ちよりも増えてきている。



自分でもわかっていた。


今の俺に焦りがないと言えば──嘘(うそ)になる。



遊水の髪の色は俺に、あの日の黄色い光を思い起こさせた。