恋口の切りかた


ふふ。
遊水が笑った。


「円士郎様は、そのようにご立派なものを持ち歩いていらっしゃるが──」


彼は、俺がかたわらに置いた刀を白い指で示して言った。

今は遊び着なので、俺は二本差しではなく一本で出かけてきている。


「──その刀で人を斬ったことはおありか?」




それは。



数年前、留玖が離れで堀口という名の若者を斬った夜に──


俺の中で封印された感情をよびおこす言葉だった。




俺が口にする答えも見透かしたような、その問いに、

「……ねえよ」

俺は不機嫌に答えた。


「ねえが、どうした?」


遊水は俺の答えを聞いて、

期待どおりだと言わんばかりに
とても満足そうに──

口の端をにっとつり上げた。


「では、斬ってみたいとはお思いか?」