恋口の切りかた

「せっかく『刀を差して堂々と歩けるようなお歳になられた』というのに、

今ひとつご自分の周りの世界は変わらないと」



それは──けっこう的を射ていて

俺の心の底にあったものを見透かしているようで


俺はマジマジと遊水を見つめた。



「今宵、おひまであれば」

男は、蠱惑的な微笑を浮かべてささやいた。

「お屋敷を抜けていらっしゃいませ」


鳥肌が立つような

魔性のような笑みで


男はこう続けた。



私が楽しい遊びをお教えいたしましょう──



「あなた様の世界が変わるような、遊びを、ね」



他の者には聞こえないようなささやき声で言って、

金魚屋は──白い口の端をにやりとつり上げた。



「弟君や妹君には内緒です。

ご兄弟の中では──どうやら円士郎様が一番、気が合いそうだ」