恋口の切りかた

まあ、俺も別に、
金魚を飼うのが気に入らなかったワケではなくて、


留玖に色目を使いやがった、この遊水という男が気に入らなかっただけなんだが。


金魚を飼う容器を嬉しそうに用意する留玖を見て、まあいいかと思っていたら──



「円士郎様」

いけ好かない男は、何やら俺に耳打ちしてきた。


「円士郎様の城下でのお噂はかねがね」


ふふ、と笑って遊水はそう言った。


どういう噂か知らないが、

そのころの俺は渡世の者(*)たちともつき合いがあったり、賭場に顔を出したりもしていたので──

あまりいい噂ではないだろう。


「ンだよ」

不機嫌な俺に、

「ところで円士郎様は、常日頃から何か物足りないとお考えではありませんか?」

遊水はそんなことを言い出した。



(*渡世の者:任侠、ヤクザのこと)