恋口の切りかた

元服をひかえた平司は、ますます生真面目で冷静沈着な奴(やつ)に成長していた。


相変わらずにこりともしない顔で歩み寄ってきて、

平司は桶をのぞきこんで眉根を寄せた。


「金魚……ですか?」

紅毛の血を引く男の面相を見ても大した反応もせず、平司は無表情なままそうつぶやいた。


「ねえ、平司も可愛いと思うよねぇ? 飼おうよ」

「こんなもん、お前も結城家にはいらねえと思うだろ?」


口々に言う留玖と俺。


留玖はぷうっとふくれた。

「何よぅ……雪丸だってきっと喜ぶし、
風佳にも──見せてあげたら、絶対に喜ぶと思うんだけどな」


俺の許嫁は、
やたらと留玖に懐いているようで、

初めてうちに来たあの日から、頻繁に屋敷に遊びにくるようになっていた。


相変わらず俺のことは嫌っているようだったが。


でも留玖に女の子の友達ができるのは、いいことだと思う。

留玖も嬉しそうだったし。