恋口の切りかた

「金魚はいかがでしょう?
結城家ほどの格式あるお家には、優美で相応しい魚と思いますが」

「いらん! 結城家は武芸の家だ。ンなものは飼わん。とっとと帰れ!」


実際、金魚というのは高級な魚で、

それを飼うのは一部特権階級の、裕福な者だけに可能な贅沢の一つだった。


にべもなくはねつけた俺を見て、留玖が口をとがらせた。


「えー? 金魚、可愛いよ。飼おうよ」

桶の脇にしゃがみ込んだまま、留玖は上目づかいに俺を見上げた。


「──ダメ?」


──可愛いのはお前だ……。

その視線に撃ち抜かれて、俺は思わず思考停止しそうになる。