恋口の切りかた

「どうだ、おもしろい男だろう」

残された俺たち三人に向かって親父殿は、口の端をつり上げて笑った。



「って言うか、何だよありゃ! まるっきりバケモンじゃねェか……」

俺は大きく息をついた。

あんな得体の知れない男と平然と渡り合っていたこの親父殿も、今夜ばかりは同じく化け物としか思えなかったが。


「晴蔵様」と、りつ殿が真剣な表情で言った。

「ご説明を」

「──ふむ。りつ、すまぬことをしたな。無事で何よりだ」


親父殿は堀口の死体に羽織をかけなおし、

「こやつは、何と言っておった?」

と、俺を見てニヤリとした。


「親父が家老暗殺の下手人に、こいつを推挙したってよ」

俺は、これまた得体の知れない親父殿をにらみつけた。


「……本当なのか?」

「うむ、本当だ」

「──っ!」


息をのむ俺とりつ殿の前で、座りこんでいた留玖がすっくと立ち上がった。


「父上」

「おお、なんだ留玖」