恋口の切りかた

「堀口については、切腹して果てた、ということにしておきましょう。
『元々そうさせる』つもりでしたしね」

言いながら離れの戸口に向かう伊羽の背に、

「ふむ、こちらの処理は儂がやっておく。すまんが、それでおたのみする」

親父殿がそんな声をかけて、

「いえいえ、こちらこそ」

戸口で立ち止まって、伊羽は肩ごしにふり返った。

「今宵は『私にお力をお貸しいただいて』ありがとうございました」


なんだ──?


意味不明な二人のやり取りを聞いて、首をひねった俺に向かって、

やっぱりボソボソしたくぐもった声音で覆面家老は言い残した。



「漣太郎殿、久々に傑物の器を見せていただいた。

だがまだまだ子供、つめが甘い。

いずれ大人の世界で再びまみえる時までに、その器量、ようく磨かれよ」



俺がこれまで会ったこともない──まるで魔物か化け物のような人間は、

そう言って去っていった。