恋口の切りかた

「初めから父君の判断を仰げば、このような大事にもならず収まったのでは?」

城代家老はなぶるように言って、くくく……と低く笑った。


「理由を当ててみせましょうか。

今、このように、私がここへついて参ることを危惧したのではありませんかな」


こいつ──!


俺は、見下ろしてくる視線をにらみ上げた。

「いえ。子供ゆえ、考えがおよばず──己で何とかしようと先走った結果の愚行とお考えください」

「子供、ですか。漣太郎殿は今年おいくつに?」

「十三にございます」



あっははは! と覆面頭巾がくぐもった高笑いを上げた。



「十三! くくく……十三の年でその判断に度胸、大した器だ! 結城殿!」



伊羽はぴたり、と笑うのをやめた。



「才気あふれる御子たちで、まったくうらやましいかぎり」

「そいつはどうもおそれいりますな」

「漣太郎殿はゆくゆくはこの結城家を背負って立つお方、ぜひともこの私も昵懇(じっこん)に願いたいものだ」