恋口の切りかた

「レンちゃん……?」


「私が斬るように指示したのです!

そうせねば、りつ殿のお命が危険と判断いたしましたが、確かに軽挙妄動との謗(そし)りを受けてもいたしかたなき決断でした」


俺に絶対に手を出すなと──関わるなと、りつ殿は言った。

それは、関わればヤバいことになるからに違いなかったのに──


だったら堀口を斬った留玖は、どうなるか──。


「あの場の責任は全て私にあります!
もしも、おとがめあるならば、どうか私に!」


覆面の奥の、闇にかくれて見えない瞳を見すえたまま、俺は頭を下げた。


ぶきみな覆面頭巾は黙って俺を見下ろしていたが、やがて口を開いた。

「漣太郎殿」

「は!」

「なにゆえ、貴殿(きでん)は我が屋敷にいる父君にすぐさま知らせなかったのかな?」

「──それは……」


あんたがあやしんでくっついて来たら困ると思ったからだ、

とは言えず──


俺は返答につまって、言葉を探した。