恋口の切りかた

「それでは、城代家老暗殺などという大それた罪を犯した者を、何の詮議をすることもなく手打ちにしたわけですか──これはこれは」


とぼけた口調なだけに、ぞっとするような怖さがひそんでいる。


「困ったことをしましたなぁ、世間はどう思いますかな。

まるで──これでは口封じではありませんか。

ねェ、結城殿」


「いやあ、まったくですな」


城代家老のイヤミたっぷりと思える言葉に、親父殿はしれっと開きなおった返答をした。


「まさか、儂がおらぬ間にこのようなことになっていようとは!

確かにこれでは世間には、結城家に都合の悪いことがあって、口でも封じたのかと思われてもしかたありませんなァ。

どうしたものか」


覆面家老は、唖然(あぜん)としたようにしばらく黙っていたが、「やれやれ」と相変わらずくぐもった声で低くつぶやいた。


「しかし、この堀口という男」

家老は足もとの死体をながめて、

「私も夕刻斬り結びましたがね、決して弱すぎる使い手でもなかった──それを」

そう言って、覆面の下の怜悧(れいり)な光が留玖のほうを向いた。


「一刀のもとに斬りふせる子供がいるとは」