恋口の切りかた

「るきどの──ということは、結城家のおつるぎ殿か」

堀口という若者は私の名前を聞いて、感服したような顔になった。

「いや、男の御子かと思いました!
こんな私の姿を見ても勇ましいふるまい、さすが六人もお斬りになった天童です」


私は、ちょっと変な気がする。

村ではあんなに恐れられて嫌われたのに、ここでは──

父上も、
蓮太郎も、
そしてこの人も、

──武士の世界では、あの大晦日の話は受け入れてもらえるんだな、と思った。

それはうれしくもあるけれど、
百姓と武士というのはやはり住む世界が違う人間なんだと実感せずにはいられなかった。


はかなげな、少女のような印象のりつ様でさえ、夜に突然転がり込んできた血だらけの男を見ても、落ち着いて、こんなに毅然(きぜん)としている。

きっと、これが武家の女ってものなんだろう。


そして、おそらく自分ももう──
あの村にいる父や母とは、違う世界の住人になってしまったんだ……。


「私など、夜討ちでたった二人しか斬れず……しかも肝心の相手には敵わずに、この始末!」

若者の口からくやしそうに語られた内容には、ひどく物騒な単語が混ざっていた。


「夜討ち──と言いんしたか!?」

りつ様が聞きとがめて、顔をしかめた。

「いったい、どなたを……!?」