恋口の切りかた


大河様の道場の人──?


私はようやく、刀の柄から手を離してかまえを解いた。

が、緊張したまま、堀口と名乗った目の前の男をながめた。


どうやら身分のある御武家様のようだけど……。
でも全身血だらけのこのかっこうは、どう見ても尋常じゃない。

堀口って人はどこもケガをしていないようだし、
だとしたらこの血は全部、他の人の血──さっき、二人斬ったと言っていたから──その返り血ということなんだろう。




「留玖殿、晴蔵様は?」


りつ様は私にそうきいた。

そっか。
りつ様は、父上がさっき出かけたことを、まだ知らないんだ。


奈津様は知っているのに。


りつ様は幸せだと微笑んでいたけれど、私はやっぱり……悲しくなった。