恋口の切りかた

俺は衝撃を受けた。


俺が知っている留玖からは、想像もできない言葉だった。


武家のしきたりが納得できない様子で、青文と亜鳥の政略結婚に心を痛めていた少女。

しかし今の言葉は、武家に生きる者の──武家のしきたりを受け入れる覚悟を秘めた内容だ。


「お前は、そんな理由で──側室にしろと言うのか?」


俺は、腕の中の彼女の顔を覗き込んで、曇りのない瞳に尋ねて、


「エンこそ、そんな理由で迷ったの?」


留玖は俺を見上げて、やっぱり幸せそうに微笑んだ。