恋口の切りかた

「いいよ」

「え?」

「私、着物縫ってあげる。
エンのために、いくらでも縫ってあげる……」

私は彼の体温を感じながらそう言って、

「おう、頼む」

円士郎が囁いて、私の頭をそっとなでてくれた。


円士郎に会ったら、言おうと思っていたことがたくさんあったのに、何にも口にすることができなくて、

私はただ彼の腕に身を任せて、円士郎に抱きしめられて立っていた。


どれだけそうしていたのか──


お互いに無言で、そっと体を離した時には既に夕日は沈み、

視界の色は優しい夕闇の藍色に変わっていた。