恋口の切りかた

「おい、何の話だ?」

青文の口から再び彼の名前が飛び出して、円士郎が眉根を寄せた。


ほっほ、という笑い声がした。

見ると、藤岡が綺麗にそった顎をつるりとなでて、

「相変わらず貴殿はこしゃくな若造だのう、伊羽殿」

そんなことを言って、凄みのある様子で目をすがめた。


「だが一つ考え違いをしておるのう」

「考え違い、とは?」

青文が聞き返して、仕置家老は再び笑い声を立てて、真っ白な眉の下の目を円士郎に向けた。

「のう、円士郎殿。
儂が以前、円士郎殿に言ったことを覚えておるかの?」

「はあ?」

私が頭を動かして見上げると、円士郎はますます眉を寄せて眉間に皺を作った。


「儂はこう言ったはずじゃ。

下につくならば優れた人間が良いと。『あらゆる意味に置いて』な」


心当たりがあるのか、円士郎が「あァ、そんなこと言ってやがったな」と呟いた。



「それはつまり──仕えるならば、儂も優れた主君が良いという意味じゃよ」



そう言い放って、白髪の御家老は再び青文に視線を戻した。


「ひいてはそれが国のためにもなる、ということじゃ」

「なるほど」

青文がどこか笑っているような、可笑しそうな様子で頷いて──