わけがわからない私たちの前で、殿は苦笑した。
「まったく──いかなる手段で円士郎の気を変わらせたのか、知りたいところじゃな。
さすがは青文の申すことじゃ。彼の目に狂いはないと言うことか」
殿はそんな言葉を口にして、
「殿にそう言っていただけるとは、光栄ですな」
特徴的なくぐもった低い声が飛び込んだ。
声に続けて本人が、私が来たのと同じ庭木の向こうから現れる。
「おつるぎ様、円士郎様をこの世に引き留めること、やはりあなたにしかできぬ役目でしたな」
綺麗な素顔を再びしっかりと覆面で隠して、槍を手にした城代家老は裏庭に歩み出て、
「お礼申し上げます」
と私に向かって頭巾の頭を垂れた。
「お、お礼なんて……」
私は、皆の前だというのに未だに円士郎に抱きしめられたままで、ほっぺたが熱くなるのを感じながら慌てて言った。
「私がエンに生きていてほしかったから……」
「無論。おつるぎ様がこの世の誰より強くそう望んでいたことは、わかっております」
青文は覆面頭巾の頭を上げて、殿や藤岡たちを見た。
「ですが、円士郎様のご無事は、ひいてはこの国のためでもある」
「え……?」
この国のため?
いったいどういう意味なのかわからず、私と円士郎は顔を見合わせた。
「まったく──いかなる手段で円士郎の気を変わらせたのか、知りたいところじゃな。
さすがは青文の申すことじゃ。彼の目に狂いはないと言うことか」
殿はそんな言葉を口にして、
「殿にそう言っていただけるとは、光栄ですな」
特徴的なくぐもった低い声が飛び込んだ。
声に続けて本人が、私が来たのと同じ庭木の向こうから現れる。
「おつるぎ様、円士郎様をこの世に引き留めること、やはりあなたにしかできぬ役目でしたな」
綺麗な素顔を再びしっかりと覆面で隠して、槍を手にした城代家老は裏庭に歩み出て、
「お礼申し上げます」
と私に向かって頭巾の頭を垂れた。
「お、お礼なんて……」
私は、皆の前だというのに未だに円士郎に抱きしめられたままで、ほっぺたが熱くなるのを感じながら慌てて言った。
「私がエンに生きていてほしかったから……」
「無論。おつるぎ様がこの世の誰より強くそう望んでいたことは、わかっております」
青文は覆面頭巾の頭を上げて、殿や藤岡たちを見た。
「ですが、円士郎様のご無事は、ひいてはこの国のためでもある」
「え……?」
この国のため?
いったいどういう意味なのかわからず、私と円士郎は顔を見合わせた。



