恋口の切りかた


 【円】

一瞬の間の出来事だった。


凍りついていた場の空気が動き出して、

「おい、大丈夫かよ!?」

と、隼人が声をかけてきた。


「……お怪我は?」

すぐそばでそう尋ねられて、俺は自刃して果てた娘から宗助へと視線を移した。

真っ昼間だからか、宗助は出会った時に見た忍び装束ではなく、普段の中間の格好で、

ただ、腰には木刀(*)ではなく、忍び刀とでもいうのか──特殊な形状の刀を差していた。


「俺たちより、お前、その腹……」


脇腹を片手で押さえた宗助を見上げて俺が言うと、宗助は能面のような顔のままで「大事ない」と答えた。


「急所は避けている。死にはしない」


「でも、毒が──」


俺の腕の中で留玖が呟いて、


「毒!?」


俺は思わず声を上げた。



(*中間は士分ではないため、刀を携帯することはできず、代わりに木刀を差していた)