恋口の切りかた

「てめえ、留玖に斬りつけたのも本気じゃねえな」

円士郎が、渋面を作って口を開いた。

「……俺にトドメを刺させるためか?」

夜叉之助を映す目つきを険しくして、円士郎は言った。

「そんなことのために留玖を傷つけやがって──冗談じゃねえぞ……!

トドメなら、こんな真似しなくても俺がきっちり刺してやったっつうんだよ!」


「そうか」と夜叉之助が言って、

少し色の薄い、
こうして見ると本当に冬馬によく似た目が、私に向いた。


「ふん……留玖、まさか、お前に後ろから斬りつけられるとはね……」


冷たい声で言うその人の顔を、私は覗き込んだ。


「私のことを、エンから引き離そうとしたのは──巻き込みたくなかったからなんだよね……?」


自分がどんな表情で彼を見下ろしていたのかわからなかったけれど、私が震える声でそう尋ねると、「なんて顔してる……」と言って夜叉之助は冷たい雪みたいに笑った。


円士郎による刺し傷も、

背後から私が斬りつけた傷も、

最後に正面から袈裟懸けに円士郎が斬り上げた傷も、

とても深くて、

瞬く間に周囲の水たまりに広がっていく赤い色が、これから彼の辿る運命を何より雄弁に物語っていた。


「お前を結城円士郎から奪うためにやったんだ……それだけだよ……」


私の問いに対してそう答える声は氷のようで──