恋口の切りかた

ふらふらと身を起こして、冬馬は雨の中へと歩み出てきた。


酷い出血だと思われた傷は、しかし血が止まっている様子だった。


「どうして……」

倒れた実の兄を見下ろして、冬馬はぼう然とした口調でそう呟いた。


「急所を避けて浅く斬りつけた……出血はすぐに止まる……」

夜叉之助が言って、


「なぜです……!?」


冬馬が声を震わせて尋ねた。


「さあ……なぜかな……」


薄く笑ってそう答える盗賊を、私は衝撃を受けて見つめた。


円士郎も、同じように驚いた表情で夜叉之助に視線を注いでいた。



この人は、血の繋がった冬馬を何のためらいもなく、冷酷に斬り捨てたような口ぶりだったけれど……


実は手加減していたの──?