恋口の切りかた

雨に濡れた体を温かい水が伝い落ちる。



「貴様──!?」

驚愕に見開かれた夜叉之助の目に向かって、俺は口の端で笑って見せて──




次の瞬間、

俺の目が捉えたのは、夜叉之助の背中に刀を振り下ろす留玖の姿だった。


いつの間にそこまで近寄っていたのか──


「留玖、待て!」


俺が制止の声を上げるのと同時に、赤いしずくが散った。


夜叉之助の口から苦鳴が漏れる。


背後から斬りつけた少女を、夜叉之助が振り返って、




「え……っ?」

留玖がびっくりした顔になる。


既に俺の刀で胸を刺し貫かれていた夜叉之助と、

心臓ではなく俺の肩口を貫通した夜叉之助の刀とを見て。