恋口の切りかた

ただ、何かとてつもなく恐ろしい気がした。



「どうすれば……いいのですか?」


こわごわたずねると、虹庵は私が手にした刀を示した。


「君が晴蔵様からいただいたその刀──『小修羅丸』という名だということは知っているね」

「はい」

「それは妖刀だ」


妖刀……


私は小さくくり返して、手の中の刀を見つめた。


「美しい直刃(すぐは)の刀だが──いわゆる村正などの妖刀とは違って、過去にこの小修羅丸を手にした者は皆、慈悲の心無く殺戮(さつりく)を楽しむ修羅の道に堕ちたと言われている刀だ」


私はびっくりした。

どうして、父上はそんな刀を私に──


「君にとっては戒めとなるだろうと、元服の折り、晴蔵様はその刀をあえて君に渡した」

「いましめ……?」


「もしもこの先、己を見失いそうになる時があれば、その刀を見て私の話を思い出しなさい。

君にその刀を渡した晴蔵様のお心を思い出して、逃げずに自分の中にあるものと向き合いなさい」


師範代はあの時、私にそう言って──





今、雨と血に濡れた刀をながめながら、

私はやっと虹庵が口にした言葉の意味を理解できて、そして認めた。