恋口の切りかた

「ちが……違うもん……私は……」



そんなはずない……!

人を殺めるのを楽しいと思ったことなんて、一度もない。



でも、だけど──



時々、とても怖い顔で私のことを見ていた虹庵。

蜃蛟の伝九郎、清十郎……私が剣を振るうたびに、周囲の人間が示した反応。


これまでの出来事が、次々に脳裏をよぎっていった。




「こんな──こんな真似を楽しむなんて、人間の娘の仕業じゃねえ……!」



へたり込んだまま、私の足もとで盗賊の男がわめいた。



「こいつは、魔物だ……! 鬼の子だ!!」