「ひィっ」

盗賊の一人が上げた甲高い悲鳴で我に返った。


池の水面を叩く雨音が耳に戻ってくる。


気づけば、大勢でかかってきた盗賊たちは皆、足下に倒れていて、

最後の一人になった盗賊が、

血の海になった地面に尻餅をついて、
私の顔を見上げて、

震えていた。



あははは! という笑い声がして顔を上げたら、こっちを見ているおひさと目が合った。


「やっぱり、それがあんたの本性じゃないの!」


おひさは勝ち誇ったようにあごを上げた。


私は肩で息をしながら、ぼう然とおひさを見つめた。

おひさが何を言っているのかわからなかった。


そうしたら、


「あんた、その顔」


おひさは小馬鹿にしたように鼻を鳴らして、私の顔を指さした。


「今、自分がどんな顔してるのか、わかってる?」


「え……?」


私は、首をかしげて


ふと、


かまえた刀に映り込んだ自分の顔が目に入った。