一人で相手をするのは初めての人数だった。


後ろから斬りつけられるのを防ぐため、とっさに池を背にする。


一人目が、刀を振りかぶって突進してくる。


がら空きの胴を狙おうとして──青文と共に襲われたいつかの夜を思い出す。

また、何か身を防護するものをつけているのかもしれない。


懐に飛び込もうとしていた動きを止め、刀が振り下ろされた瞬間、身をひねってかわしながら、袖口からのぞいている相手の両手を斬った。

切り落とすほど深くはない。

けれど、放っておけば致命傷にもなり得るほど深い手応えが返ってくる。

男が刀を落とし悲鳴を上げる。


赤い色を視界の端にとらえながら、

突きかかってきた二人目の刀をよけ、相手の勢いを利用して露出した喉に刀を押し当てかっ切った。


私は十余人の動き全てではなく、自分に向かってくる者だけに集中する。


三人目と四人目が同時に斬りかかってきて、

どう動けばいいのか、はっきりと見えて──



いつの間にか、雨音は聞こえなくなっていた。



エンのところに行かなくちゃ──

エンを私が助けるんだ──



頭の中にはそれだけで、

私は黙々と体を動かし続けて、