おひさは、池のそばに立った私の近くまで歩いてきて足を止めた。

この場にこうして現れたということは──


「やっぱり、おひさちゃんも盗賊の……闇鴉の一味だったの……!?」

「盗賊? ええ、そうよ……!」


私の問いにそう答えて、けたけたと笑い声を上げるおひさは、あざやかな紅色の着物を着ていて、
化粧をして紅を差した顔は、結城家にいた頃とは別人みたいだった。


「でも、あたしは闇鴉の一味じゃないわ」


すれたような、はすっぱな言い方でおひさはそう吐き捨てて、


「父親が先代の頭目に世話になっていたから、復讐のために闇鴉の一味を頼っただけ」


少女は、前に町中で出会った時と同じ、燃えるような瞳に私を映して言った。


復讐……?


復讐のためって……


「いったい、何のこと?」


私が浮かべた困惑の表情が我慢ならないというように、おひさは顔をゆがめた。


「本当に何も知らないのね。吐き気がするわ、あんた」