恋口の切りかた

「それからさあ」と少年は鬼之介の背中を指さした。

「お兄さんが背中に差してる槍って、そのしつらえを見ると無想流槍術の宮川家に伝わる十文字槍の『赤花飛燕楼』でしょ。
お兄さんはそれ、使わないの?」

「十文字槍の『シャッカヒエンロウ』?」

俺は驚いて、

目をまん丸にして子供を凝視している鬼之介を振り返った。

「無想流槍術の槍は直槍(すやり)じゃねえのか?」

伊羽家の屋敷で宮川中に襲われた時の槍は直槍だったし、
先刻、殿様の別宅で青文が持っていたのも直槍だ。

「いや、確かにこれはうちの流派に伝わる十文字槍、赤花飛燕楼だ。
ボクには──使えないがな」

鬼之介はそんなよくわからないことを言って、「ふうん?」とガキが首を傾げた。

それから、

「刃物っていいよねえ」

俺たちからやや離れた位置に立ったそのガキは、物騒なセリフを口にして目をキラキラと輝かせた。

「でもさ、オイラが刃物よりもキョーミあるのは、お兄さんが手にしてる鉄砲だなァ。
それ、お兄さんが作ったの? 名前あるの?」

「ふっ! 二連式六雷神機だッ」

鬼之介が子供相手に大威張りで答えた。

「へえ。自動で銃身を回転させる仕組みなんて凄いなあ。
この鉄砲は、種子島をオイラでも扱えるように小さくしたものだけど……」

少年はそう言って鬼之介のマントを撃ち抜いた鉄砲を見せた。

「せっかく作ってみたけど、連射はできないし、失敗作だな」

「なに!? 貴様のようなガキが作ったのか!?」

鬼之介が目を剥く。


このガキ、つまり──


「鬼之介と同類の武器中毒かよ!」


俺は思わずツッコミを入れた。