恋口の切りかた

鬼之介のそばを弾丸がかすめ、マントに穴が空く。

「お兄さんの相手なら、オイラがするよォ」

続いてそんな声が聞こえて、振り返った先にいた者を見て俺は目を疑った。


「ガキ……?」


これもまた改良した鉄砲なのか、小ぶりの火縄銃を構えてこちらに歩いて来るのは──

年の頃なら十三、四の──まだその顔にあどけなさを残した少年だった。


「ガキじゃない!」

そいつは俺の言葉にムッとした様子を見せて、

「ガキじゃねーかよ。お前いくつだ?」

「もう十四だ」

「……まだ十四だろうが」

半眼で言いながら、俺はとまどった。


まさかこんな子供までが一味だって言うんじゃねえだろうな?


顔をしかめる俺の刀を指さして、

「それ」

と、そのガキは言った。


「簾刃(すだれば)に紅葉のごとき刃文──丹波守吉道の幻の一刀『楓星』だね。血に濡れるとなお美しい」


ガキはうっとりした目で俺の刀の銘と号を言い当てて、「それに」と続けた。


「さっきのお侍さんは秋山隼人だね。
あの小太刀、雨だれのような美しい肩落互の目刃──長船景光の『時雨』。
この国の開現流に代々伝わる一振りだろ。

それからそこのお侍さん、神崎帯刀だよね。その刀は『微助一文字』」


「ジウ」に「カスカノスケイチモンジ」?

俺も知らなかった隼人や帯刀の刀の号までをスラスラと口にした子供に、俺はあっけにとられた。